いやりって、難しいですよね。

 人間って、自分を中心にしかモノを考えられないところがあって、それが、他人との間に軋轢を生んだります。

 若い頃、イベント設営のバイトしてたことがあります。その時、ヒドイ上司がいましたねえ。
 年齢は、私とあまり変わらなかったんですけど、上から高圧的にあらゆることに関して命令して来たり、いきなり怒鳴ったりするので、バイト仲間は、みんなウンザリしてました。

 ある日、イベントの設営で、天神のビルで仕事をした時も、彼は、私たちの働きぶりが悪いと、切れてました。
 その時、バイト仲間の一人が、ブツブツ文句言ってました。

「アイツは、バイト出身のくせに、どうして、俺らの気持ちを分からんとや?自分も、同じ境遇におったっちゃけん、分かろうもん。」

 この時、その上司が、バイト出身だという事を初めて知りました。こうブツブツ言ってた男は、その後、仕事中にその上司に、

「オイ、お前、トロトロ仕事せんで、さっさとやらんか!」

と怒鳴られて、

「今、しようやない。見えん?」

と切れてましたね。この時は、私からも、みんなからブーイングを食らいましたね。私は、

「あんた、その言い方、なんとかならんね!」

とハッキリ言いました。彼も、上司としての面子があるので、

「早く仕事に戻れ!」

なんて感じで、暫く突っ張ってましたけど、
 かなり不穏な空気になったので、流石に、彼もマズいと思ったのか、

「スマンやった。」

と詫びましたね。

 
 このどうしようもない上司は、多分、自分がバイトだった時の気持ちを忘れちゃったんでしょうね。バイトで上司にこき使われていた身分から、急に人をこき使える身分になったせいでしょう。仕事の厳しさをはき違えてるこういうバカは、どこにでもいます。

 同じような現象は、色んな場面で見られます。教師は、自分が生徒だった時の気持ちを忘れるし、親になったら、自分が子供だった時の気持ちを忘れます。
 よーく思い出したら、思い出せるんですけどね。それが出来ずに、生徒や子供に、無理強いしている人って、結構多いように思います。それを続けてると、生徒が不良化したり、子供が問題を起こしたりします。
 そして、それを生徒や子供自身のせいにするんですね。全て、自分の鏡なんですけどね。

 部下だってそうですよ。なんかトラブルが起きると、全部、部下のせいにしたがる人がいます。自分の方に、落ち度があるとは考えないんですね。部下の方は、しっかり、上司を見ていて、上司だから言えないことをグッと我慢してるんです。
 それが分からずに、無理強いし続ける上司は、ハッキリ言って、大バカ者です。天に唾するようなもんですよ。だって、自分の鏡なんですから。

 
自分が人の部下だった時の事をよく思い出せば、部下の気持ちや立場がよく分かるはずなんですけど、そうは考えないんでしょう。愚かな人たちです。
 そういう事を続けていると、子供が不良化したり、家出したりするように、部下が反抗したり、会社を辞めたりします。あたら、有為な人材を失う事になるんです。
 そしたら、また別の人を雇って、また一から教えないといけません。そして、また同じことを繰り返します。効率悪いですよ。

 それも、これも、人の上に立つ人が、自分とシッカリ向き合って、相手の気持ちを慮る事が出来れば、全て解決する事なんですけどね。まあ、世の中、あまりにも「裸の王様」=自分が見えてないヤツが、多過ぎますな。残念。