私が、そのトイレの近くに自転車を停めていると、すぐ傍に小学校低学年くらいの女の子と幼稚園児くらいの年齢の女の子を連れたお父さんが、一人いました。その人は、娘さんたちに、
「お父さん、トイレに行ってくるから、ちょっと待ってて。すぐ戻って来るよ。」
と言って、トイレに入って行きました。彼が、「すぐ戻って来る」と言ったので、私も安心して自転車に施錠していたんですが、施錠が終わっても、彼は戻って来ませんでした。
トイレ横の空き地では、二人の幼い娘さんたちが、何度も「お父さん!」と呼びながら、その人が出て来るのを待っています。
所詮、他人事ですから、そのままその場を離れて動画を撮影する予定の場所まで移動しても良かったんですが、性格的にそれが出来ない質の私は、暫く、待ってました。二、三分、待って、そのお父さんが出てくれば、何も言わずに、その場を離れる積りでした。
ところが、彼は、10分くらい待っても、トイレから出て来ません。彼が出て来るのを待ってる間、私は、「危ないなあ」と何度も呟いてました。結局、それから更に三分ほど待って、やっと彼は、トイレから出て来ました。
で、彼のところまで行って、
「スミマセン」
と話しかけると、彼は、露骨に警戒した顔で私を見て、「ハイ」と言いました。無理もないです。いきなり知らない男に話しかけられたんですから、宗教の勧誘かなんかと間違えられたのかも知れません。私自身、大濠公園で、何度か宗教の勧誘を受けたことがあります。
で、私が、
「危ないですよ。これくらいの体格のお子さんだったら、サラって行くのに30秒も掛かりませんから。」
と言うと、彼は、途端に態度が一変して、
「分かりました。有難うございました。」
と言って頭を下げました。その「分かりました」は、社会人が仕事場で上司から自分の思い違いやミスを指摘された時に発するような真剣で誠意のこもった口調でしたね。彼は、瞬間的に、自分が親として、如何に危険で無責任な事をしたかを悟ったようでした。
生理現象なんで仕方がないと言えば仕方がないんですが、子供たちの面倒を見る大人が、自分一人しかいない場合は、家を出る前に膀胱と直腸は、なるべく空にしておくべきでしょう。自分がトイレに入ってる間に、子供を誘拐されたら、どうにもならないからですね。
誘拐されて、子供が無事に戻って来ると言う保証は、どこにもありません。もし、行方不明のままになったり、遺体で発見されたりすれば、「あの時、私が目を離したばっかりに」と一生自分を責め続ける人生を送らねばならなくなるんです。
下の動画をご覧になれば分かる通り、幼い子供を誘拐するのに、大した手間暇は要りません。子供が家族と一緒にいても、物の30秒~60秒くらい家族が子供から目を離した隙に、子供を誘拐することが出来るんです。
小さなお子さんをお持ちの親御さんは、この辺の事を甘くお考えにならない方がいいでしょう。今日、私が見た女の子たちも、偶々誘拐犯が近くにいなかったので無事に済んだってだけの話で、次回、同じ状況になった時も、無事に済むとは限らないからです。